組織再生医療班

背景

膝前十字靭帯断裂の治療である再建術では、再建材料に自家腱が用いられます。自家腱は自分の足から腱を採取するため侵襲性が高いことから、手術後の足の筋力低下が課題となっています。本課題を解決するため、自家腱採取が不要かつ移植後に拒絶反応がなく、細胞浸潤により自己組織化が期待できる脱細胞化組織の開発を推進しています。

脱細胞化技術

 組織の脱細胞化処理では、界面活性剤溶液を拍動循環させている回路中に組織を固定し、外部からマイクロ波を照射して細胞を崩壊させています。マイクロ波を24時間連続照射した組織では、これまでに99%以上のDNAを除去することに成功しています。

生体内リモデリングの解明

膝前十字靭帯再建術後の脱細胞化組織は生体内でリモデリングされることで、植え込み後に強度が上昇することや、脱細胞化組織を構成するコラーゲンの種類や繊維の太さが靭帯に近づくといった“靭帯化”と呼ばれる現象が起こることが分かっています。当研究室では靭帯化のメカニズムを解明するために大動物を用いた前十字靭帯再建試験を実施し、植込み期間13週後、52週後での力学的特性評価や組織学的評価を行っています。