生命理工学専攻准教授 服部 薫 先生の論文「In vitro characterization of hemodynamics in bicuspid aortic valves: The impact of valve and ascending aortic morphologies」が、Magnetic Resonance in Medicine に掲載されました。
本研究では、大動脈二尖弁(bicuspid aortic valve: BAV)に関連する上行大動脈イベント(大動脈解離・破裂)の危険因子を、血行動態の観点から明らかにすることを目的としました。MRI対応型の拍動循環シミュレータを開発し、癒合形態の異なる5種類のBAVと三尖大動脈弁を含む計6種類の弁モデルに、直径と屈曲角度の異なる4種類の上行大動脈モデルを組み合わせ、合計24条件の血行動態を4D-flow MRIで解析しました。
本研究から得られた主な知見は以下の通りです。(1) Type 1 BAV(非対称型)では、非癒合弁尖側へ偏位した流出路ジェットが発生し、大動脈壁への衝突によって流速の大きな二次らせん流が生じる。(2) 無冠尖が癒合する形態では、さらに流速が大きく、偏心性の高い二次らせん流が発生する。(3) Type 0 BAV(対称型)はType 1に比べてジェットの偏位が小さく、上行大動脈の屈曲角度が正常な場合には異常らせん流を生じない。(4) 上行大動脈の屈曲角度の増大(加齢などに伴う変化)は、ジェットをより近位で衝突させ、二次らせん流の流速と渦度を高める。
本研究は、弁形態と大動脈形態の組み合わせが血流に及ぼす影響を体系的に分析した初めての報告であり、BAV患者におけるリスク層別化や治療戦略の最適化に新たな知見を提供するものです。
詳しくは、こちらから論文をご覧ください。
准教授の服部薫先生の論文がMagnetic Resonance in Medicine に掲載
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