理工学術院総合研究所次席研究員 高田淳平先生、岩﨑清隆教授、心臓血管研究所附属病院・早稲田大学理工学術院総合研究所招聘研究員加瀬川均先生の論文「Assessment of the Stentless Mitral Valve and Operation using Bioengineering Method」がJTCVS Techniquesに掲載されました。
本研究では僧帽弁疾患に対する新たな治療選択肢となり得るステントレス僧帽弁(以下,Normo弁)について①既存の人工弁(Mosaic弁)との血行動態比較試験、②Normo弁のデザインを変更した際の血行動態比較、③Normo弁の弁尖に生じる応力の算出を行いました。
血行動態比較試験には患者左心室形状を模擬した弾性モデルを組み込んだ拍動循環シミュレータを用いており、同一試験条件で1)弁流入量、2)弁逆流量、3)弁前後圧格差を計測することができます。本試験よりNormo弁は既存の人工弁と同等の血行動態性能を有していることが明らかになりました。
弁流入量を多く確保することを目的として、2枚の弁尖から構成されるNormo弁のうち1枚の形状を小さくする比較実験を行いました。その結果弁尖を小さくすることにより弁流入量を増加し、弁前後圧格差も小さくなることが明らかになりました。
Normo弁は患者の弁輪と乳頭筋に固定するため、左心室形状が弁尖に及ぼす影響を評価することが必要となります。本研究では有限要素解析を用いて、乳頭筋間距離が異なる左心室に同一Normo弁を植え込んだ際に、弁尖に生じる応力がどのように変化するか算出しました。その結果Normo弁の脚間距離(28 mm)に近い左心室に留置すると応力は小さいが、乳頭筋間距離18, 36 mmの左心室に留置すると弁尖に生じる応力が大きくなることが明らかになりました。
本研究は僧帽弁治療デバイスの開発・デザイン改良をIn vitro試験を基に進めた研究であり、開発の迅速化に寄与することが可能となります。
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次席研究員の高田淳平先生の論文がJTCVS Techniquesに掲載されました
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